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川崎タカオ『きまぐれな輝き』

格好つかないドラマティック
それでも男はカッコつけ、
巡り巡って滑稽に…
「微妙なドラマ」が花ひらく (帯文より)

 どうにも笑ったり馬鹿にしたりできない悲しさがある。他人からすれば喜劇だが、当の本人からすれば悲劇でしかないことを思う。スージー甘金主宰のコガネ虫スタジオ出身、フリーのイラストレーターとしても活躍する、川崎タカオの短編集。待ち合わせをすっぽかされる男、解雇寸前の手品師の男、人面鳥、自称探偵。ここに収められた作品の主人公は皆、そのワイルドなイメージとは裏腹に、どうしようもないくらいに格好が悪い。格好がつかないゆえに、彼らは面白い。そして面白いから、意味がある。“そういう場所でしか生きられない人間”というものは、往々にして存在するのだ。死ぬまでロングシュートを決めることのない人生が……。

 ある意味、読む人によっては、心が沈んでしまうこともあるかもしれない。ギャグ漫画であるにもかかわらず! ギャグというより、シリアスなシチュエーションに圧倒的な異物(宇宙人とか)が混ざり込んでいるその“状況”のシュールさがギャグ漫画たらしめている作品のため、その土台になるメッセージなんかがけっこう重かったりするんだな。崖の上でサスペンスドラマにありがちなシリアスな独白を続ける犯人と、これまでに観たアダルドビデオのことを考えて上の空の刑事を描いたコントのような、『AV連続殺人事件』がいちばん僕は楽しめた。追憶のなか、アロハシャツをかたくなに着続けた昔の恋人に想いを馳せる『アロハの君』も良い。

 のちにシリーズ化、単行本にもなった『待ちぼうけ紳士』の雛形も収録。スージー甘金×本秀康×川崎タカオによる巻末鼎談は、各作品を読み解くヒントに。

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きまぐれな輝き / 川崎タカオ
販売価格(税込): 1,155 円
A5判並製 191ページ
発行日: 2007/11/11