B2634-00

古泉智浩『ピンクニップル』

ポスト童貞マンガである。いや、“童貞マンガのネクスト”とかそういうことではなく、これまで『ジンバルロック』や『チェリーボーイズ』といった童貞マンガを数多く描いてきた作者がセックスについて描いたという意味で、ポスト童貞であるということなのだが。

童貞とは、マインドのことを言う。『チェリーボーイズ』のあとがきにも書かれていたように、童貞は、性体験の有無は重要なポイントではあるものの、それだけでは測れない部分の童貞性も存在する。本作に関して言えば、童貞を童貞たらしめる“自信のなさ”はあまり見受けられない。本作のそれぞれの短篇の主人公は、それなりに経験を積み、セックスを克服しているように見える。しかしそれでも、彼らには肝心なものが抜け落ちてしまっている。それは双方向的なコミュニケーションである。心と心を通じ合わせる対話は、単なる性経験だけではなく、人間としての成長が求められる。本作では、セックスを中心に据えて、男女の立ち行かないコミュニケーションが描かれる。

『友達ロボット』はタイトル通り、友達になってくれるロボットの物語。親身なロボットに対し劣情を抱いた主人公は、自分の思い通りにならないと腹を立てる。やがて、咄嗟の感情に任せてリセットボタンを押してしまうのだが……。『こころ』では、同棲生活をするバンドマンの男と女子大生が登場する。女子大生は主人公に対して心を許していない(何故同棲しているのだろう?)ため、男は夜毎、性欲のはけ口となる相手を探す。各エピソードごとのオチに、言いようのない虚しさが漂っている。表題作『ピンクニップル』はフラフラと遊び歩く男と、その彼女の物語だ。自分の都合ばかり考えている男は、やがて彼女を失う。それだけの話だが、やはりこの作品も虚しさがある。

あとがきで作者は「セックスに際しては女の子に土下座をして臨みたいというのが本当の気持ちである」と述べている。感謝の気持ち、というとナンではあるが、相手を思いやる気持ちが大切であるのは言うまでもない。思いやる気持ちのない男とはどんなに最悪なものか? 本作を読めばすぐにわかるはずだ。

Buy Now

ピンクニップル / 古泉智浩
販売価格(税込): 1,155 円
A5判並製
発行日: 2008/04/30