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J.マツオ『FORBIDDEN SENCE』 

何度読んでもその情報量に圧倒される(いつも途中で休憩を挟んでる)氏のマンガ作品です。あらためて、プログレッシブだなあと思う。同じプログレでも、キング・クリムゾンみたいなパワータイプや、ジャーマン・プログレみたいなポップアート的でミニマルなタイプではなく、エマーソン・レイク&パーマーだとか、もしくはイタリアン・プログレだとか、「プログレっぽいプログレ」なタイプですね。技巧的で構築的であり、そして何よりシュールレアリスム的意匠がふんだんに織り込まれていることに由来するものでしょう。まあ、言ってしまえば敷居の高い世界ということですよ! プログレ音楽はプログレ音楽としてまだ類型化できるからいいものの、氏のマンガは、いったい棚のどのあたりに収めるのが良いのか? 以前のレビューにも書いた通り、諸星大二郎の影響が見受けられる部分もあれど、これほどまでに質量のある作品というのは……。子供の顔を描くにあたって、こんなに皺を書き込む作家が他にいるだろうか。

本作は、短篇を中心とした作品集である。 

不思議な植物のタネがオマケについている食玩をめぐって、ネグレクト気味の子供と保育園の先生が巻き込まれる数奇な体験を描いた『キミタロウ』、「穴」に魅せられた男たちが「穴」について語り「穴」を購入するシュールレアリスム短篇『あなや』あたりの作品が気に入っている。芸術的反射神経を発揮し描かれたショートショート連作『落穂拾い』では作者のイマジネーションが奔放に跳ね回り、変容していくさまを堪能できる。たった4Pの『殿と姫』などにいたっては、様式美のコントだ。

アートがアートであったときから。プログレがプログレであったときから。シュールレアリスムがシュールレアリスムであったときから。

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J.マツオ

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「フォービドゥン・センス」 / J. マツオ
販売価格(税込): 2,100 円
A5判 273ページ
発行日: 2007/01/21