h_L

高川ヨ志ノリ『弟子は女子/誰でも出来る/もりすぎる』

怪奇幻想タッチの作品を数多く発表しているサークル:瓶詰天獄・人形地獄が送る、コミックマーケット84新刊。サラッと描かれているようで美麗な雰囲気は流石ベテランといったところ。全体に溢れる大正書生テイストにかかわらず、時代も土地も飛び越えた、モダンボーイ・モダンガール向け短篇漫画三編を収録。

『弟子は女子』は、後継者不足に悩む現代の名工のもとに続々とあらわれる若い女弟子たちが巻き起こす騒動を描いたドタバタ劇その1。いまの弟子よりももっと美人で付加価値の多い弟子が登場しては、必要以上に高まるアイドル人気。やがて本質はないがしろにされ、外枠のみがエクストリーム化していく。マスメディアとマスの欲望は往々にして肥大化するもので、たとえばいまの女性声優業界なんかまさにそのままそうですなー、なんて。

『誰でも出来る』は、とある地域不詳の王国が舞台のドタバタ劇その2。貧困に苦しむ国民を憂いた王は、大臣に相談し富の再分配を図る。ただし、単に金をばらまくのではなく、貧しく仕事の無い者に誰にでもできる仕事を与え、その対価として金を与えるという条件で。そして施行された制度は、だんだんと腐敗を始める……。横着な官吏の介入で当初の目的が腰砕けになって瓦解していくというのも、現実に往々にして起こることで……。

『もりすぎる』は、人気小説をメディアミックスする過程で勝手三昧に改変し、その利権に与ろうとする大人たちの黒い謀略を描いたドタバタ劇その3。三編とも、当初は正しかったはずの物事を強欲な人間が骨抜きにしてゆく様をコメディタッチで活写している。勧善懲悪の寓話といえどどれも軽妙。登場人物多めで賑やか。作品の性質としては全然違うのだけれど、『さよなら絶望先生』(講談社)的な要素(シックな雰囲気というか)が好きな方は是非。

Buy Now

「弟子は女子/誰でも出来る/もりすぎる」 / 瓶詰天獄・人形地獄
販売価格(税込): 315 円
B6 60P
発行日: 2013/08/11