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河井克夫『出会いK』

「河井克夫の漫画家生活10余年の軌跡」と銘打たれた本作は、『アックス』や『マガジン・ウォー』その他さまざまな媒体に掲載された短い作品を一処に集めた一冊。「本書のテーマは、デビュー当時からなるべく他人が描かないような珍しい漫画を描こうと努力し、そのおかげかヒット街道に載ることは望むべくもなく、それでもなんだかんだ14年くらい活動してきた私の、でもそのおかげで培われたイガイと引き出しの広いところを見てもらおう、というもの」(解題より)と語るように、『ガロ』に掲載されたデビュー当時の作品から、08年の刊行当時の最新作まで幅広いジャンルの作風がうかがえる。幅広いジャンルを手がけることは、漫画原理主義的には滅法正しい(たとえば手塚治虫)。

シリアスなムードのある作品群と、ギャグ作品群がそれぞれ収められている。前者に関しては、その独創的な着眼点や物語のオチのズラし方などが巧妙で、オルタナティヴ漫画好きにとってピンとくるポイントは多いはず。連作シリーズ『夢は夜ひらく』で見られるサイケデリア、『森繁鮎子2050』の激烈なテンションは面白い。一方で、後者のギャグ作品に関していえば、本作の表紙にもなった『アックス』での連載シリーズ『出会いK』に端的な駄洒落センスにハマることができれば間違いないのだが……僕の場合は、最初に一読してから三ヶ月ほど経って再読してみたら、ピッタリきた。じわじわ浸透する笑いなのだと思う。

その“ごった煮”感、リラックスしたムードからB面集的な印象もあるが、どの作品も短く手軽に読むことができるうえに、作者の柔軟な創作姿勢が伺えるため、河井作品に触れるにあたってまず手に取ってみるには最適な一冊とも言える。

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出会いK / 河井克夫
販売価格(税込): 945 円
B6判並製
発行日: 2008/12/31