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南伸坊『ねこはい』

相手目線で考えることが大事なのだと言っていたことがある。ドラム奏者の友人が。職業上、小学生の子供と交流のあるアイツは、子供たちに、ときには虫目線になって考えてみたり、烏目線になって考えてみたりすることを説いたりしているらしい。つねに相対的たれ、ということである。

猫目線の本がある。

『ねこはい』は、猫が作った俳句の絵本である。《わがはいは ビールのすきな ねこである》所帯染みた猫。《れんたんの もえるめつきの あかあおき》火鉢をまんじりと覗き込むキャッツ・アイ。《こらをよぶ ははのこえして さんまやく》ニャーンと伸びるズルそうな手。

猫は生活する。ゴロンと寝転がってみたり、匂いを嗅いでみたりする。移り行く季節の機微を猫たちは見つめている。猫だけに流れる時間の中で、猫の目線の高さで。言葉を韻律にゆるゆると乗せる楽しみを知っている。南伸坊さんの、猫に憑依したことでうまれた絵と言葉は、ノホホンとした躍動感でもって、日々の瞬間をより愛しいものとして描き出す。

饒舌な猫たちも、一巡りしてまたやってきた春には、一面の菜の花畑でまどろむように言葉を失い、ただ「ニャー」とだけ鳴く。エンケンさんのデビュー盤が「niyago」と名付けられてそれで十分だったのと同様に、「ニャー」と鳴けばすべてが足りるときもある。詩を詠むというのはそういうものです。

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ねこはい / 南伸坊
販売価格(税込): 1,050 円
A5判並製 描き下ろしオールカラー64頁
発行日: 2013/07/25

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