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J.マツオ『タマゴと創造性』

タマゴの魅力を我らタマゴ派はこう断言する! 即ち……単細胞である事! フォルムの妙なる事! 何者でもない事! 同時に頭である事! つぶしてやりたくなる事! 創造性の象徴である事!

ザ・レジデンツ主義者なのだろうか? タマゴの仮面を被る男J.マツオは、米国西海岸の目玉親父たち=ザ・レジデンツとは異なり、自らが何たるかを語ることを厭わない。J.マツオというペンネームは松尾純次という名前だからだという。戦略とかそういうのでもないのだなあと思う。伝えるべきことをきちんと伝えようという親切心ゆえに謎が謎を呼んでしまうという事態。

ここには92年から01年までに描かれた漫画の数々が収められている。

タイトルそのままに、作者が偏愛し一貫としてその作品にモチーフとして登場する“タマゴ”と、作品を生み出す総ての原動力である“創造性”をテーマに据えた作品たち。シュルレアリスム過剰なタッチ、湧き上がるイメージ、メタモルフォーゼする異形の徒、そして何故だか80年代ハリウッド映画を思い出すキャラクターたちの妙なテンション。やはり、他の追随を許さない独特のパワーを持った漫画である。このプログレ感、ただごとではない。

合わせて80Pに及ぶ『リュエル』『タマゴと会議』の二作においては、作者の創作哲学が超・具体的に熱弁されている。言葉は漫画から溢れ出てもはや散文の形式を取り始め、ページの大半は文字で埋め尽くされる。この饒舌の前には何か言葉を付け加える余地などなし……や、もうこれはお手上げというものです。ここまで語り込む漫画作品なんて他にあるのか?? ここまで作品内で説明されていれば、わかる人には「読めばわかる」し、わからない人にはどんなに説明してもわからないだろう。

自ら「J.マツオという作家への入門書として最適」と語るように、J.マツオの何たるかを知るにはこの上ない一冊。どれも凄まじい熱量で描かれた独創的な作品であるのにかかわらずどこか門が狭いなァと思ってしまうが、ゆえに意欲的な漫画読みに是非とも挑戦してもらいたい。

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J.マツオ

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「タマゴと創造性」 / J. マツオ
販売価格(税込): 1,470 円
A5判 194ページ
発行日: 2002/02/28