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杉山実『ガール・デバイス』

少女型生体群ガール・デバイスによって地球が滅亡した遠い未来。僅かに生き残った人類は火星に移り住み、反撃を開始する。少年兵アルファは一兵士としてこの第七次地球奪還作戦に参加するが、やがてその大きな謎に巻き込まれていくこととなる。はたしてガール・デバイスとは何なのか? 漫画に限らず版画、アニメーションなど多くの作品を手がける杉山実の長編SFコミック第2弾。

前作『マザー・コスモス』で見られた、細部まで描き込まれたメタリックな絵は本作でも健在。帯文として、「ガンダム」シリーズなど日本を代表するアニメーター安彦良和氏がコメントを寄せていますが、まさにそうしたロボットアニメからの影響が大きいと思われる、メカ・宇宙・SF・軍・戦争といった男子のロマン溢れるモチーフも、やはりたくさん詰め込まれています。それに、今回は敵が女の子の形をしたモンスターという……。本編序盤早々に現れる、宇宙空間を遊泳する巨大女子高生にまずは前後不覚。「デカくて強くてしかも女子高生」というのはマニアックといえばそうなのだけれど、ときにグロテスクであってもエロティックではないし、いま流行の『艦隊これくしょん』のように萌え方向に消費されるものでもない。性的なフェティシズムにも母性的なフェティシズムにも回収されない、ただ「このスケール感で女の子が飛び交ってたら痛快じゃない?」とでも言うようなこの感じは、独特のものなのかもしれません。

折に触れて、主人公アルファの脳裏に現れる謎の幻覚。校舎の屋上、こちらを真っすぐに見据えながら、「あなたを決して許さない」と語る謎の女の子。彼女に嫌がらせをするクラスメイトたちのヴィジョン。無論、これが「ガール・デバイスとは何か」という物語の根幹に関わってくることなのでここで多くは語りませんが、社会の最小単位である学校での《いじめ》を《世界の存続》というレベルにまで拡大する想像力はセカイ系そのもの。そういえば綾波も巨大化してたもんなー。本編のラストシーンなどにはそうした《セカイ》的イメージがよくよく表れています。帯文の「イメージの暴走、蒼い心のわななき」というのはそうした意味で、まさに正鵠を射ていますね。

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ガール・デバイス / 杉山実
販売価格(税込): 1,365 円
A5判並製 224ページ
発行日: 2011/03/15