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古泉智浩『ゾンビの森』

ショートムービーワークショップ「よるのひるね映画研究会」を主催する漫画家・古泉智浩が、自主制作映画『ゾンビの森』を漫画として再度書き下ろし。さらに付録のDVDは映画本編のほか、漫画評論家の大西祥平との対談形式の解説を収録した約1時間にも及ぶボリューム感ある内容となっている。

「死体が歩き出す怪現象」が起きるようになってすでに10年。大学受験に二度失敗し、三度目の夏を迎えた終一は今年もどうしようもない日々を送っている。終一は、自分と同じようにどうしようもなくフラフラとしたまま行方不明になってしまった親戚のおじさん・英三のことが忘れられないようだった。そんなある日、英三によく似たゾンビの目撃情報を耳にした終一は、友人とともに「ゾンビの森」と呼ばれる松林へ向かうことに……。

「なぜこのような一回自主映画で制作したものをマンガにしたのかと言うと、オレは映画よりもマンガの表現力がずっと上であることが身に沁みてよく分かったので、せっかく作った物語をそこその表現力が備わっているマンガという方式で表現しておきたかった」とのこと。実際比べてみると、単純に映画の方が外的要因(役者の演技力であったり)に左右されるということを置いておいても、ひとつひとつのシーンの見せ方だったり細かい演出だったりといった部分で、たしかにその通りだなあ……とは思う。古泉漫画の、あのやぶれかぶれな感じはやはり漫画じゃないと出ないのかも。逆に言えば、漫画の方はバッチリ。ゾンビのいる日常を通して、どことなく遣る瀬のない若者の心象が描かれています。

ところで、DVD収録の解説対談でこの本が制作された理由にも触れられているのだけど、本当に身も蓋もない話……! この話を踏まえると、作品としてもパッケージとしても、試験的なものなのだろうと思われる。氏の作品のファンは、解説まで含めてしっかり見ておくべき。

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「ゾンビの森」 / 古泉智浩
販売価格(税込): 1,000 円
B5 36ページ
発行日: 2011/01/10