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コマツシンヤ『睡沌氣候』

 高知県出身。2004年、『アックス』に本作のタイトルにもなった『睡沌気候』が掲載されデビュー。同年、第6回アックスマンガ新人賞および本秀康(本作の帯文も寄稿している)個人賞を受賞した作者の、初の単行本。今年の夏には太田出版よりオールカラー単行本『8月のソーダ水』も刊行され、静かに話題を呼んでいる。

 或るよく晴れた日曜日の、風凪ぐ午後のシエスタ、またはフィラメントの星が零れ落ちるような夏祭りの夜の煌めき、まどろみ……水。星くずと街の灯、何処果てのない冒険。キャラメル箱に仕舞った、子どもたちのお気に入りのガラクタたち。ここには、P感覚もA感覚も目覚め出してしまう前の(それも、ナイーヴな)男の子たちが持っている、ジュヴナイルでジオラマ的なロマンチズムが詰まっている。その瑞々しさの一方で、レトロフューチャーな風合いはまるで30年代に撮られたSF映画のようだし、『MUSHROOM GARDEN』『SLEEP WALKER』なんてタイトルは多分にサイケデリックだ。漫画である以上にイラストレーションとしての性格も強いその作風からは、佐々木マキや絵本作家であるたむらしげるからの強い影響が伺える。言うなれば、ひとコマひとコマが、それだけで完結しているイラストと言ってしまっていいほどの、絵としての魅力を放っているのだ。その映像的愉悦に、ただただ浸りたい一作。

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睡沌気候 / コマツシンヤ
販売価格(税込): 1,365 円
A5判並製 191ページ
発行日: 2011/06/30