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永井ミキジ編『自己満本』

 グラフィックデザイナー・アートディレクターである永井ミキジが自らの様々な偏愛歴を語るウェブサイト「ミキジ自己満足ページ」。本書はその開設10周年を記念して作られたもの。しかし、サイトの歴史を辿る回顧本ではなく、ウェブ上と同様に、あらゆる“自己満足”の数々をチャンプルー的に並列した一冊に仕上がっているところがミソ。ウェブ発ならではの、まったく自由な雰囲気が改めて紙媒体に落とし込まれたことで、結果として「同人誌らしい同人誌」に仕上がっているところが面白いところですね。それにつけても、扱う話題のニッチ&ディープなこと。様々なジャンルのアイテムを蒐集する編者による「顔ジャケラーメン対談」に始まって、「ニンジャムービー」「コンビニ漫画対談」「なつかしガチャ台紙対談」などなど、なかなか顧みられることのない狭い狭い世界の、その奥深さが語られています。

 店主の顔写真が掲載されてるカップ麺=顔ジャケラーメンも、ひとつひとつ追っていくとストーリーがあったりして笑えるんですよね。《丼の渡し方にも色々とあって、片手で丼を差し出す「どーだ!系」と両手で渡す「おかげさま系」っていうのにわかれますね》という風に分類してみたり……タモリ倶楽部とかが好きな人はわかると思うけれど、物事はニッチになればなるほど、そしてそれを語る人間の熱が高まっていればいるほど、面白い。

 「サイトにゆかりのある人物」として記事を寄せているメンバーがこれまたとても豪華で、それぞれの執筆陣も、それぞれの自己満足的コアワールドを大展開。とみざわ昭仁さん、遠藤敏文さん、渋谷直角さん、古澤健さんなどなど……また、漫画作品を堀道広さん(クリエイター集団・ベンチウォーマーズのメンバー同士でもある)、川崎タカオさんといったアックス系の書き手さんが描いていることもさることながら、『シティライツ』(講談社)などで知られる大橋裕之さんが寄稿しているあたりポイント高いです。2001年、9.11の日、大橋先生は一体何をしていたのか? 当然、他では読めない作品なので注目。

 ちなみに、画像ではわからないと思いますが、アリクイの舌が栞(しおり)になっているデザインもとてもかわいいです。

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「自己満本」 / 永井ミキジ
販売価格(税込): 1,000 円
A5判 108ページ
発行日: 2010/03