B2005-00

杉山実『マザー・コスモス』

 かつて、地上は発達した技術文明が反映していた。しかし、地上を襲った災疫「大変転」によって全ては失われた。遥か未来を舞台に、僅かに生き残った人間の子孫たちが、ロボットと共に地上の楽園を求めて旅をするSFファンタジー。ディッグ=発掘師である主人公のサトルたちは、行方不明になった仲間を助けるためにガーゴイル・シティに足を踏み入れる。そこで出会ったマザー・コスモス・キイという謎の少女、そして彼女を攫わんとする帝国の特殊部隊。やがてサトルたちはその数奇な運命に巻き込まれていく……というお話。

 巻末に「マザー・コスモス世界設定」が付録として収録されているのですが、設定から入っていくこの感じ……! アニメーション監督、演出家である桜井弘明がこの本へ寄稿した文章のなかで、端々のセリフに『機動戦士ガンダム』などのロボットものアニメからの影響を指摘しています。つまりは、キッズ心をくすぐるあらゆる原理によって、このマンガは形作られているということです。父親の遺したメカ(半獣)、帝国軍の追手、歪んだ血、不死の法、数々の伝説、神話、そしてボーイ・ミーツ・ガール。ロマンチックな戦争譚、英雄譚、サイエンス・フィクションを浴びて育った人間ならば一度は想像するであろう夢がこれでもかと詰まっている作品。結末も含めて、相当風呂敷を拡げまくった感はありますが、一方ではそれがこの作品の良いところなのでしょうね。

 その壮大な世界観を支えているのが、フェティッシュに細かく描き込まれた画。硬質な線描はいかにもメタリックで、レトロフューチャーな世界観にマッチしています。また、各エピソードの扉絵はエッチング(銅版画)によって描かれたもの。ロボットや鳥人間などのデザインもグッドです。

Official Site

ミノルランド

Buy Now

マザー・コスモス / 杉山実
販売価格(税込): 1,575 円
A5 判並製 209ページ
発行日: 2005/11/25