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甘茶茂『タンゴ・ゼブラ』

バンドネオンの名手であり、タンゴ音楽のかたちを大きく変容させた20世紀の大作曲家であるアストラ・ピアソラが生まれ、そして最期の時間を過ごした国、アルゼンチン。その首都ブエノスアイレスを巡る地下鉄道は、日本最古の地下鉄・銀座線建設のモデルになった、南アメリカで最も歴史のある地下鉄です。ブエノスアイレスの中心部からコリエンテス大通りの下を通りパルケ・チャス地区に至るB線では、日本の営団地下鉄から譲渡された、丸の内線創業時から活躍していた赤い電車が現在も走っています。誰かと誰かを繋いできた電車が時と場所を越え、走り続ける。それはとてもシンプルに、ロマンチックなことだ。

『タンゴ・ゼブラ』はNECOfan主宰・甘茶茂の漫画第四作目。仕事に忙殺され、疲労困憊した男が乗り込んだ、天気輪発南十字行き最終電車。夢うつつの車中、彼はいくつかの不思議な出会いを果たします。それは、母から子へと受け継がれる記憶をめぐる旅でした……宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を明確に引用にしながら綴られた、10ページの短篇作品。丸衿の少女は大人になり、いつか覚えたカレーの味を、その子供へと伝えてゆく。ノスタルジックなトーンのなかで、カットアップのように現れる一個一個の記憶が現在へ、そして未来へと繋がる。そういえば、京都の兄弟デュオ、キセルは「遠い昔は 未来に よく似てる」(近未来)だなんて歌を歌っていた。

ところで本作に登場する「ペニー・レイン」とは、70年代に原宿にあったバーのこと。ビートルズの曲名を冠したお店には当時のフォークシンガーが多数来店し、吉田拓郎の『ペニー・レインでバーボン』という楽曲で歌われたこと有名になり、修学旅行生など、地方のファンもよく訪れていたといいます。作者が発行する『NECOfan magazine』第3号では、母親が吉田拓郎の追っかけをしていた頃、「今からペニー・レインで飲むんだ」と言われたというエピソードを明かしています。

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「タンゴ・ゼブラ」 / 甘茶茂
販売価格(税込): 210 円
A5判 12ページ
発行日: 2013/02/03