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斎藤裕之介『アメちょうだい』

アックス(青林工藝舎)などで漫画を発表し、2009年には『サメ叩き』を上梓した斎藤裕之介さんの、ごく初期の作品も含んだ短篇集。

何年か前に流行ったCGアニメ『ゴールデンエッグス』のようなキャラクター造形は時には不気味。また背景もほとんど描かれず、ローファイな雰囲気は肩の力が抜けているというものでもなく、どこか不穏なものを孕んでいるようにも感じられます。

一方で、2004年に描かれたという『思春』は、ボールペンによる細かい書き込みで描かれています。この作品がまた、素晴らしい。大暴れの末、地球を壊滅させた巨大ロボットが、誰もいなくなった荒野のなかで不意に勃起するという!(笑)。思春期の巨大なリビドーをロボットに、そしてその孤独と行き場の無さを荒れ果てた大地に置き換えた作品で、それだけといえばそれだけなのですが、この感じはすごいです。物語の落としどころにも注目。この漫画を手に取るような方ならば、どうして僕らは“不良”になれない(なれなかった)のか、なんとなくわかるのではないでしょうか?

どこかナヨッとしていて、情けなさとくだらなさが笑いを誘うこれらの作品を、シュールギャグと呼んで片付けることも可能なのかもしれません。しかし、決してそれだけではない。それは表題作『アメちょうだい』に端的に現れているような、暴力的なまでの「理不尽さ」であり、そして『アラウンドサーティー』 に描かれているような「苛立ち」であると感じます。根底の部分にこうしたものを抱えている作家を信用したいという気持ちが、少なからずある。

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ベンチプレス

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「アメちょうだい」 / 齋藤裕之介
販売価格(税込): 840 円
A5判 92ページ
発行日: 2011/06