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甘茶茂『NOVELTY SONGS』

NECOfan主宰、その活動は小説、短歌、音楽など多岐に渡る甘茶茂の漫画第三作目。

俯きハーモニカを吹くアディダスジャージの少年と、赤い果実で口元を隠す少女。その佇まいはどことなく恥ずかしげな表情を隠しているようでもあって、一方で、大胆不敵な自信(それは往々にして、若さゆえのものとしか言いようのない、根拠のないものだ)を感じさせるような類いのものです。この表紙に描かれた二人が出会いそして別れる、ほんの短いガール・ミーツ・ボーイのお話。

「青い春なんてとっくに色づいて / 赤く熟したトマトだよ」一年前の夏に終わってしまった短い恋を忘れられずにいる女の子が、教室の外から聴こえてきたハーモニカの音色に導かれるまま彷徨っていると、そこにはブルーズを演奏する不思議な男の子が。愉しげな会話を重ねるにつれ、少女は、去年の夏の他愛のない戯れの記憶がオーバーラップするのだが……。

16ページの短い作品ながら、漫画技法上のギミックが詰まっていて、かなり見所満載の一本です。特に、本編と共に去年の夏の記憶が同時進行で描かれ、合流していく様にハッとさせられますし、シームレスなタイム感も見事だと思います。ハーモニカのブルーズに始まって本編最後のクロスロードに至るまで、音楽的な意匠で一貫しているのも綺麗ですね。“しりとり”を再開させた言葉「ンデゲオチェロ」といえば、ミシェル・ンデゲオチェロ。ベルリン生まれワシントン育ちのシンガー/ベースプレイヤーで、ファンクやソウルやR&B、ヒップホップやレゲエやロックやジャズなどなど、様々な要素を取り入れながら、独自の音楽を築いているミュージシャンですね。それこそ、鳥のように自由な、奔放なスタイルが魅力の人です。

表紙イラストのポストカードと、(当作品を含む「甘茶茂既刊セット(※)」特典として)JR千駄ヶ谷駅ならぬ「JRフェンダーヶ谷駅」が登場する5コマ漫画のポストカードがついていて、こちらも小品ながらサイケデリックで良いです。

※注) 即売会限定のため、サッシでは取扱いがございません。



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NECOfan

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「NOVELTY SONGS」 / 甘茶茂
販売価格(税込): 315 円
A5判 16ページ
発行日: 2012/09/02