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齋藤裕之介『TOKYO-BAY』

舞台は2020年、オリンピックに湧く東京。突如として現れた未確認巨大生物が襲来し、都市は危機に陥った。ひとびとは畏怖と嫌悪の念を込め、次々とあらわれる巨大生物たちを「GAITYU(害虫)」と呼んだ。事態を重く見た時の首相、マック赤坂は「日本スマイル防衛軍」を結成し、司令官には、表舞台から姿を消していた日本を代表する司会者、林田一義が任命された。防衛軍はGAITYUを駆除するために人形巨大ロボット「バルサーン」を開発。バルサーンには日本を代表するスターやヒーロー達が乗り込み、それぞれの才能を発揮して戦闘する。ヒデキとナガシマが操縦する長距離バッター型バルサーン“MATSUI”、国民的アーティスト型バルサーン”EXILE(エグザイール)”などというように。

さて、昨年度(2013年4月から2014年3月まで)のカルチャートピックを恣意的にですが振り返ってみると……『あまちゃん』、ご当地キャラ、「艦隊これくしょん」、『真夏の方程式』、『パシフィック・リム』、『風立ちぬ』、『半沢直樹』、漫画版『エヴァンゲリオン』完結、『進撃の巨人』、「今でしょ!」、汚染水、東京オリンピック開催決定、東京都知事選挙、アベノミクス、『いいとも』終了……。いやァ、いろいろありましたね! やっぱり、我々(この文章を書いているワタシと、こんなサイトを訪れるようなアナタ)は根がサブカルでしょうから、ふだん関心のある分野もだいぶ偏りがあるワケですけれども、それでもお茶の間レベルに浸透したビッグヒットの話題が特に賑わった年だったと記憶しています。いわゆるテレビ的なるものの最後の輝きだったのかな、とも思いますが、それはまだなんとも言えませんね。

昨年のヒット映画『パシフィック・リム』を見るからに下敷きとしたストーリーに、お茶の間トピックを微妙に茶化したギャグ。齋藤裕之介『TOKYO-BAY』は、現代ニッポンのエッセンスが散りばめられた作品と言えます。原案は徳川龍之介(下北沢「古書ビビビ」を経営。お隣のディスクユニオンと共に、しばしばお買物させていただいております)ということで、ツイッターではテレビの話題も多い氏による部分が大きいのでしょう。細かいネタのひとつひとつが、我々のよく知っているものばかり。「かつて日本を支配し、深海に眠っていた鬼が、原発事故によって漏れ出した核燃料によって封印を破り、やがて海底のゴミと核燃料を合成しGAITYUを生み出す」という、科学的因果関係のフワーッとした設定はいかにも往年のSF怪獣映画感。小松崎茂の空想科学イラストを彷彿とさせるような図解ページも、いかにもですね~。可笑しい一冊です。

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「TOKYO-BAY」 / 齋藤裕之介, 徳川龍之介
販売価格(税込): 864 円
B5判 72ページ
発行日: 2014/03