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Interview 箱庭の室内楽1

いずこねこ、泉まくら、ゆるめるモ!、lyrical schoolをはじめ、近年、アイドルへの楽曲提供・コラボレーションに引く手あまたの、ハシダカズマ率いる箱庭の室内楽が、2014年07月02日にミニアルバム「Friends」をリリースする。

ハシダとは、十年来のバンド仲間でもある甘茶茂がインタビューを敢行。ギタリスト・上野翔も交え、全収録曲について語ってもらった。(第1回)
第2回はこちら
第3回はこちら
箱庭の室内楽ミニアルバム『Friends』 特設サイトはこちら

取材・文・写真: 甘茶茂

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甘茶茂
(以下、甘茶)
前作「birthday’s eve」は、幾多の困難を乗り越えて発表した6年ぶりのアルバムということで話題になったじゃないですか。今作「Friends」も、何気に2年ぶりということで、その間の積もる話もいろいろあると思いますが(笑)、それはおいおいにして、まずは冒頭の「bell lyre」から、順に追っていくことにしましょう。そもそもこのタイトルは何て読むんですか?ベルリレ?
ハシダカズマ
(以下、ハシダ)
「ベルリラ」ね。ベルリラというのは、鼓笛隊/マーチングバンドが使う、縦型のグロッケン(鉄琴の一種)のことで、「見た目がかっこいい」というだけの理由で、ヤフオク!で買ったんです。
甘茶
もしかしてこの曲、仮タイトルとして、とりあえず使っている楽器名を付けておいたものの、そのまま本タイトルに決まってしまった系の話ですか?
ハシダ
いや、仮タイトルは、曲のリズムから「ツタツタ」(笑)。いつも曲名付けるのは、一番最後まで引っ張ってしまうんですよね。
上野翔
(以下、上野)
仮タイトルが付いていることすらまれで、デモ段階だと番号しかついていないから、わかりくいんです。
ハシダ
個人的には曲名は、「オーパス(作品番号)」でいいと思っているくらいだから。
甘茶
それで即物的なタイトルが多いんですね!
ハシダ
昔の作品も、キーが「E」→「え」→『絵』とか(笑)。
上野
やっぱりタイトルあったほうがいいですよ!リハで「1002」とか「1013」とか言われて混乱する僕らの身にもなってください!
甘茶
えっ、ちょっと待ってください。1,000曲超えているんですか?!
ハシダ
最近1,000超えたんです、箱庭だけで。ボックスセット出せるくらいあるんですよ、曲だけは……。他、ソロでは300くらいあって、あと、提供曲はまた別にカウントしているから……。
甘茶
曲は異常に多作なのに、タイトルがボトルネックになっているんですね(笑)。

ハシダカズマ

ハシダ
あ、詞を書くのも遅いです(笑)。タイトルは即物的かもしれないけど、歌詞はすごいまじめに、すごく時間かけて書いているんですよ。イメージを紡ぐ感じで、そう、イメージ先行型!
甘茶
ちょっと脱線しちゃったので、曲解説に戻しましょうか。『bell lyre』は、箱庭の室内楽らしさもありつつ、わかりやすいシンプルな曲になっていますよね。ライヴでも人気曲じゃないですか?
ハシダ
そうかも。奇数拍子(9/8)だけど、直線的なリズムになっているし、キック(バスドラムのこと)も8分で打っているから、ストレートに踊れますよね。
甘茶
たしかに。僕の甘茶茂リミックス(wedding bell lyre blues)では、9/8を4/4のシャッフルビートに解釈しましたが、自然に移行できましたし。
ハシダ
あとは、バンド的にも、上野君が加入して初めてやった曲、という意味でも思い出深いです。
上野
単純に、ギター弾いていてずっと楽しい曲ですね。
甘茶
そういえば、りんご音楽祭2013での演奏動画ではギターにフランジャーのエフェクト(音をうねらせて、シュワーッと、いわゆる『ジェットサウンド』を生み出す効果)をかけていましたが、本作のレコーディングでは使わなかったんですね。

上野
はい、それも試行錯誤の結果です。ホーンもコーラスもしっかり入っているので、そこまでゴテゴテさせなくても、という判断でしたね。フランジャー入りがどんな感じかは、ぜひライヴ動画でご確認していただき、比べて楽しんで欲しいですね。
ハシダ
あと、この曲のレコーディングのエピソードとしては、肝心のベルリラ、ライヴでは自分で弾いているんだけど、ミスタッチが多すぎるので、代わりに急遽みどりちゃん(加藤みどり: ex-鬼の右腕/うてなキャンプ/小林うてなと急げヘリコプター)に音階教えてやってもらいました。
甘茶
つづいて『five』。これがニュースでも話題になっていた、バンドとして初の打ち込み曲のひとつですね。
ハシダ
そうですね。ちなみに、質問される前に先に言っておくと、曲名は、五拍子(5/4)だから、『five』です(笑)。
甘茶
この曲は、箱庭の室内楽というバンド名、面目躍如というか、クラシックぽいアレンジですよね。
ハシダ
チェンバロ使っているからですかね。なお、ライヴでは、バンドらしいまた違った生楽器アレンジになっています。
上野
その生楽器ヴァージョンは、ライヴで演奏するの、すごく楽しいですね。特にりんご音楽祭2013での開放感は気持ちよかったなあと。
甘茶
多幸感あふれてますよね。
ハシダ
たしかに野外が合うかもね。「室内楽」と言いつつね(笑)。
甘茶
アレンジがクラシカルで凝っているけれども、構成としてはこれまたAメロ・Bメロのみと、シンプル。まあ、小節数はちょっと不思議なところありますけど。
ハシダ
小節数は全然意識していなくて、自然とそうなっているんですよね。泉まくらちゃんや、「箱めるモ!」の『木曜アティテュード』などでヒップホップを作ったじゃないですか。その時に、他の人から「小節数が変」って言われて初めて自覚したくらいですから。
上野
なにしろハシダさんはヒップホップのトラック作っているのに「Verse」を知らなかったんですから(笑)。「HOOK?サビのこと?」みたいな。
甘茶
そもそもハシダさんはどんな曲の作り方なんですか?
ハシダ
ギターと鼻歌が多いですね。そこでリズムとメロディとハーモニーが同時にできたら、イメージにしたがってアレンジを打ち込んだり、生演奏したりしながらデモを作る流れ。
甘茶
そうそう、アレンジと言えば、前作リリース時の ototoy のインタビューによると、「このバンドでは全パートを僕が作って、譜面に起こしたものをメンバーに渡す」と言ってましたけど、今でもそうなんですか?
ハシダ
いや、それが変わってきてですね。
上野
そう、僕も加入前はてっきりそうだと思っていたんです。譜面をもらってその通りに弾くのだとばかり。
甘茶
専制君主制だと覚悟して飛び込んだわけですね(笑)。
ハシダ
ブラック企業だとわかっていて入る勇気ある新入社員みたいな(笑)。
甘茶
そもそも上野さんが加入したきっかけって?傍から見ると、いつのまにか加入していた感じだったので、これを機に詳しくご説明お願いします(笑)。

上野翔

上野
はい、当時箱庭の室内楽では、管楽器のメムバーは募集していたものの、ギタリストは特に募集していなかったんですね。それでもあえて、「入れてください」とダイレクトメッセージ送ってみました(笑)。
甘茶
てっきり、毛玉や OK?NO!! との対バンをしていた時期だったので、ハシダさんがスカウトしたのだと思っていました。
ハシダ
いや、やはり「やりたい」と手を挙げてくれた人とやりたいよね。
上野
もともとは、前作「birthday’s eve」を買って、「かっこいいな」と思ったのが出会いですね。過去作品や bolbots まで遡るほど、ツボだったんです。それで、自分のイベントにも箱庭の室内楽やDJハシダカズマに出てもらうようになって、その勢いでお願いしたかたちです。DMを送る瞬間は相当ドキドキしたのを覚えています。
ハシダ
そうなんだ。
甘茶
募集していないのに応募したってことは、上野さんには「俺は箱庭の室内楽でこんなことやってやるぜ!」みたいな意気込みや、「こうすれば箱庭の室内楽がもっと良くなる」的な秘策があったってことですか?
上野
いや、それよりは、単純に「一緒にバンドやりたい」という純粋な想いですね(笑)。まあ、過去のツインギター時代の箱庭の室内楽のイメージも強かったからというのもあって。
ハシダ
過去のギタリストで一番うまい。
上野
さっきも言ったように、譜面通りに弾くつもりで加入したので、けっこう自由にやらせてもらえていて、「全然、噂と違うじゃん」と肩すかしをくらいました(笑)。
ハシダ
Twitter で呟いている「ブラック企業」うんぬんはネタだからね(笑)。箱庭の室内楽は、自由闊達な社風ですよ(笑)。
甘茶
でも、最近も「甘すぎた。軍隊化する。」みたいなこと呟いていたじゃないですか(笑)。また、譜面でガチガチに縛るってことですか?
ハシダ
いや、それは、音楽家としてじゃなくて、社会人としての引き締めね(笑)。報・連・相をしっかりしようみたいなレベルの!
甘茶
なんだ。周りは気が気でないですよ。せっかくバンドが良い状態なのに、またメムバーチェンジして、音楽ナタリーのニュースに載っちゃうんじゃないかって(笑)。

2へ続く

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