にこらてすら『樽Φ倶楽部』『樽Φ倶楽部 ロング缶』

“若者の居酒屋離れ”がまことしやかにささやかれているという。居酒屋チェーンは、総じて苦戦している。大手・ワタミは1996年の上場以来、初めての赤字に転落した。人々は酒を飲むことに疲れてしまったのか。たしかに、“さとり世代”と呼ばれる若者の多くは同調圧力の強い“飲み”の場を嫌う。飲酒そのものに対して苦手感をあらわにする若者もいる。「はやく家に帰ってインターネットしたいんだけど……」。誰にも迷惑をかけず、また迷惑をかけられることのないワンルームへ。彼らは慎ましく、堅実に暮らしたいのだ。

「飲みニケーション」という言葉は、その語感そのものが死にたくなるくらいダサい。こういうところに溝の深さを感じずにはいられませんな〜。とはいえ、平成3年生まれのゆとり世代である僕も、その言葉の言わんとすることがまったくわからないでもない。何よりアルコールそれ自体は、節制を保てば愉快な友である。そして酒の席がほぐしてくれた心と、結んでくれる絆は、新たなキッカケをくれることは決して少なくはないだろう。本シリーズは、まさにそんな酒の席で「何かやりましょう!」なんて具合に持ち上がった企画なのではないでしょうか。

『樽Φ倶楽部』は、ジョン・テンダさん主催のサークル「にこらすてら」による漫画合同誌であり、テーマはズバリ「酒」。居酒屋で飲む酒や、公園で飲む酒、家で飲む酒などなど、さまざまな切り口から描かれたマンガが収録されています。ホッとするようなお話もあればホラーもあり、または根本敬先生みたいな(笑)作品もあったりと、これがなかなか多彩で面白いです。むしろ普通のグルメマンガのような「この酒とこのツマミがウマい!」みたいな作品が無いところがイイですね(唯一、群馬の餃子を食べに行く旅行記がソレにやや近いか。こちらもいましろたかしのマンガのような、くたびれた味わい深さのある良作)。自由でリラックスした雰囲気は同人誌らしくもあり、また気の合う仲間同士の飲み会のようでもあります。居酒屋で行われた座談会も収録。現在第二弾まで刊行中です。

(方便凌)

Buy Now

「樽Φ倶楽部」 / にこらてすら
販売価格(税込): 540 円
A5判 46ページ
発行日: 2013/10/20

「樽Φ倶楽部ロング缶」 / にこらてすら
販売価格(税込): 648 円
A5判 62ページ
発行日: 2014/05/05