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Interview 窓ハルカ 1

『週刊少年チャンピオン』2011年44号掲載『鈴木華子ちゃんの戦慄』にて商業誌デビュー。2014年02月のコミティア107にて同人誌『名も無き一夜のファンタジー』を発表し、各方面から絶賛されているマンガ家・窓ハルカさん。2014年04月17日に4コマ『土鶸井先輩保護クラブ』がアニメ化されたことを記念に、甘茶茂がインタビューを敢行。

独特の「疾走感」と「逸脱感」、「性」や「知的障害」といったタブーと向き合いながらも笑いに昇華させる希有なセンス、そしてぶっとんだ世界の根底にながれる「切なさ」。これらがごった煮となった、窓ハルカワールドのひみつに迫る。

インタビュー: 甘茶茂

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甘茶
以前『名も無き一夜のファンタジー』のレヴューでも触れたのですが、窓さんのマンガはガロ系的なマニアックさやトリッキーさがありつつも、不思議と一般の読み手にもわかりやすいという希有な存在ですよね。そんな窓さんのマンガのルーツというか、原体験はなんだったんでしょう?
一番古い記憶は、おばあちゃんの家にあった仏教のマンガ。4~5歳の時です。純粋なマンガというより、宗教の布教目的で描かれたものだと思います。
甘茶
窓さんのマンガには、モチーフとして修道院や、「性」へのタブー視など、キリスト教的要素が多いと感じていたんですけれども、はじまりは仏教だったんですね。意外です。
おばあちゃんは仏教徒だったんです。キリスト教的なものは、私が高校がミッション系だったので、その影響でネタになっているのだと思います。
甘茶
そういえば、思い出したんですけど、ぼくもピアノ教室に仏教のマンガがありました。著名な僧侶の伝記みたいな感じの。そんな感じですか?
いえ、『のらくろ』みたいな絵の、すごく古い本でした。

小学校に入ってからは、『なかよし』を毎月買っていました。『美少女戦士セーラームーン』『わんころべえ』『あずきちゃん』『怪盗セイント・テール』全部面白くて、全部好きでした。

甘茶
まさに『なかよし』全盛期ですね。窓さんの Twitter でも時々『カードキャプターさくら』の話題出ますし、大きな原体験になっているんでしょう。
あと、大きな影響としては、従姉妹が漫画アニメゲーム好きだったことでしょうか。近所に住んでいて、ほぼ毎日遊びに行っていました。彼女が『月刊少年ガンガン』『月刊少年ギャグ王』を買っていたので、手にとって読むようになるわけです。
甘茶
小学校時代は、読むだけで、マンガ描いてなかったんですか?
厳密な意味ではマンガは描いていませんでしたが、絵入りの小説は書いていました。しかも10本同時連載していました。
甘茶
いきなり無茶しますね。内容、覚えていますか?
宇宙もの、うさぎもの、ハーレムもの、女の子の冒険もの……などがあったのを覚えています。
甘茶
すごいラインナップ!ちなみにクラスメイトや家族とか、他人には見せていました?
はい、登場人物になりきってクラスメイトと文通したりもしていました。
甘茶
すごくアクティブじゃないですか。よくおっしゃっている「友だちがいない」というイメージとはかけ離れた姿ですね。
中学生までは普通に友だちがいたし、常に捻挫をしている活発な少女だったんです。
甘茶
その中学時代はどんなマンガを?
『うる星やつら』など高橋留美子先生作品や、『はいからさんが通る』、そして、従姉妹の影響で『まもって守護月天!』ですね。
甘茶
そういえば中学時代、部活などの課外活動はやっていたんですか?
英語部ですね。まあ、その学校における帰宅部的存在なんですけど。
甘茶
アクティブじゃない感じ、すでにちょっと出てきているじゃないですか。
そうなんです。そして、高校に進学してそれが決定的になりました。
甘茶
ミッションスクール時代ですね。
実家から一時間半かけて通っていました。
甘茶
いきなり通学からしてハードですね。キリスト教的授業や礼拝はまじめに受けていたんですか?よくネタとして出てくるだけに。
いえ、礼拝はおろか授業はほとんど出ていませんでした。友だちがひとりもいなかったので。
甘茶
ひとりも?!ひとりもいなかったんですか?
ええ。中学生の頃、友達付き合いがすごく面倒くさくなっちゃいまして。
甘茶
なるほど。
私、高校生になって初めて気付いたんです、自分が人見知りだって。というのも、生まれ故郷はすごい田舎なので、同級生ってみんな幼稚園時代からの知り合いなんですね。物心つく前から「友だち」なので、自分が「友だちを作れない」人間だって知らずに生きてきたんですよ。

それに、高校で秋田市に出てきたんですが、田舎と比べて都会で華やかなわけです。圧倒されちゃった面もあって。そこで、クラスメイトと一切のコミュニケーションを絶ったんです。

甘茶
それで大丈夫だったんですか?学校生活。
いえ、毎日苦しかったですよ。休み時間は寝たり、散歩したり。あとは保健室やトイレ。
甘茶
まさか、「便所飯」の経験も?
はい。ずっとひとつの個室にいるのはまずいので、四カ所くらいをローテーションしていました。とにかく、常に「この時間はこういう行動をとろう」っていうことを意識していて、サボるのも早退するのもすべて計算してやっていました。
甘茶
よく耐えられましたね。通学時間も長いし、心が折れそうです。
自分で選びとった道ですからね。

2へ続く

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「名も無き一夜のファンタジー」 / 窓ハルカ
販売価格(税込): 864 円
A5判 114ページ
発行日: 2014/02/02