マシンガンジャケ

島田真人編『カレーマシンガン』

クリエイター集団=ベンチウォーマーズの島田真人によるカレー同人誌『CURRY CARAVAN』に続く第二弾。オーソドックスなカレーからジャンクなカレー、さらにはお菓子やグッズなどなど、カレーと関係するものであれば何でもアリ。まさに「カレーに貴賎はない」を地で行く姿勢で、カレーへの偏愛を語りかける一冊です。

企画は様々で、即戦力にもなる「東京カレーガイド2013」(方便の好きな町田「アサノ」も掲載されている……!やっぱり有名なお店なんだ)。スパイスメーカー・GABANの工場見学。『ハチミツとクローバー』に出てくる「丸ごとリンゴカレー煮込み」のレシピは実際にトライしてみたくなること請け合い。エンケンに始まり南アフリカのスピリチュアルジャズまで、古今東西のカレーにまつわる音楽を紹介する「Curry Music Review」などなど。ベンチウォーマーズメンバー、斎藤裕之介と堀道広両氏による描き下ろしマンガも掲載されています。

なかでも白眉は、前回に引き続き敢行された「東京カリ〜番長」伊東盛・水野仁輔両氏へのインタビューでしょうか。個人的に感銘を受けたのは、東京カリ〜番長がかつて主催していたという「君カレー」というイベントのエピソードでした。「君カレー」はクラブイベントのお客さんのなかから、たったひとりのために好みを合わせたり一緒に買物に行って、作ったカレーをふるまうという趣旨の企画。このイベントを通して水野氏は「なんとなくのひとたちに向けて作ったカレーより、特定の誰かに向けて作ったカレーのほうが、他のひともうまいんですよ」と気付いたという。氏はさらに敷衍化して語ります。「それは本作りをしているときにも思っていて、こういう人に買ってもらえる本にしましょうってところから決めるんだけど、“こういうひと”がたとえば”都会に住む20代独身女性”とかだと意外にボンヤリするんですよ。具体的に自分の身のまわりの都会に住む20代の独身女性といえばあいつがいたな、そしたらあいつが大喜びする本を作ろう、そうするとそれは他の人にも受けるんですよ」と。面白い話じゃありませんか。

カレーを学び、カレーに人生を学ぶ人々の言葉には、深いコクのような含蓄があります。そこには、「カレーに貴賎はない」という姿勢と同様に、「カレーとカレー以外にも貴賎はない」という姿勢までもが感じられる。この世界のすべての事象はカレーで表すことができると言ってもいいくらい? カレーのことばかり考えてる人はもちろん、カレーのことを知りたい人や、カレーなんか興味ないなんていう人にも、是非とも手に取っていただきたい。

(方便凌)

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「カレーマシンガン」 / 島田真人
販売価格(税込): 864 円
A5判 88ページ
発行日: 2013/08