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ZAWA FREAKBEAT 『Private World volume1』

三十路を迎え、初めて実家を出て一人暮らしを始めた、しがないサラリーマンの男。山ほど抱えたパンクロックのレコードとCDだけを抱えて新しいアパートにやってきた彼が出会った隣人は、同じくパンクロックを愛聴する女性だった。あまりに出来過ぎていて“運命”としか言いようがない出会いだけれど、この第一集ではまだ二人は親しい関係であるとは言えません。この謎の女性が横柄だけれど、とてもかわいい!

主人公の長野はパンクが好きでずっと音楽を聴き続けてきたけれど、恋人もなく、仕事に追われる毎日に「このままでいいのか?」という想いを抱えています。10代のころに誰もが抱えたようなモヤモヤは、大人になったからといって消えてなくなるものでもない。音楽を聴くことで、その間だけは忘れてしまうというのも正解ではありますが、それを引きずり続ける=ストラグルし続けるのもパンクではないか? と僕は思っています。再結成して来日した80年代の伝説的バンドのライブに足を運び、圧倒されるシーンがありますが、パンクは若者だけのものとは限らないのです。そもそもパンクロックが登場してからもう35年以上経っているわけですからね。

さて、この文章を書いている自分はレコードマニアなところがありまして、中学の頃よりかれこれ10年ほど、音楽を買い続けています。この作品に登場する音楽はパンクロックとパワーポップに限られますが、音楽ディガーにとって思わず頷いてしまうようなポイントが満載なのです。

特にニヤッとさせられるのは、巻末のあとがき漫画。本編に登場したレコードについての注釈がつけられているのですが、その細かさに圧倒されます。実際、パンクロックリスナーの世界は世間一般のイメージ(飲んで騒いでナイフ所持して、みたいな?)とは違って、かなりマニアライクな世界なんですよね。インディペンデントレーベルの作品や自主制作の作品などなど、定番どころから枝葉に至るまで、その点数は果てしない。ヒップホップやテクノのリスナーと同じくらい、パンクスにはレコードマニアの人間が多いように感じます。この手のマニアたちがしてくれる音楽話は大好きです。

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Lostwomen

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「Private World (1)」 / ザワ・フリークビート
販売価格(税込): 350 円
A5判 52ページ
発行日: 2010/08