ねじ式

つげ義春『ねじ式 つげ義春作品集』

デビュー60周年を迎えた孤高の漫画家、つげ義春。『芸術新潮』2014年1月号では特集が組まれる(長い歴史を持つ同誌において漫画家がピックアップされたのは手塚・水木・大友に次いで四人目らしい……)など何かと話題を集めている昨今であります。つげ義春といえば、青林社の『ガロ』ですよ。最も勢いのあった60年代の作品はほとんど『ガロ』で掲載されていたわけで、今でも「ガロ系」といったらやっぱりつげ義春的なものを連想するぐらい、両者は切っても切れない関係にある……。で、青林社の系譜を引く青林工藝舎から現在リリースされている唯一のつげ義春の本というのが、コチラです。『噂の武士』から『やなぎ屋主人』まで、60年代後半の重要作品を20本以上収録した作品集。

まず、初出誌サイズ(『ガロ』のことですよね)=B5判のデラックスエディションです。この大きさは嬉しいですね~。いまつげ義春を読むとしたら新潮かちくまの文庫本が多いのかなと思いますが、当然小さい。特に旅行記のような作品は、海や山といった漠とした風景のなかで自分という個人が佇立する、その対比が当時の若者たちが抱いていた自己否定の意識を立ち上がらせる。そこに魅力があるのではないかと思いますが、本がデカければデカいほどそのダイナミズムも大きく、力強く迫ってくるものがあります。

そして、表題にもなっている『ねじ式』が二色刷りカラー(前半)であること。これも嬉しい。「まさかこんなところにメメクラゲがいるとは思わなかった」の赤い曇天模様が、当時どれだけ衝撃的だったことか。普通の文庫本だとモノクロで収録されているので、その感じはなかなか伝わりづらいものがあるのではないかなと。本作の解説ページによれば「色ページが使えると聞いていたから……。色を使わなかったら別の絵柄になっていたかもしれないですね」と当時発言していたようで、それだけ二色刷りを前提に構想された作品であるがゆえにこれは絶対にカラーで読んだ方がいい。カッコイイです。本作の歴史的重要性も鑑みて、以前に修正された箇所(たとえば「眠科」→「眼科」)もオリジナルに戻されているなどこだわりにこだわったバージョンだ。

その他、エッセイ、つげ義春年譜、全単行本リスト(2000年まで)などなど、ありがたい資料も盛りだくさんの一冊。やや値段が張るにしても、ファンだったら持っていたいと思うでしょう。

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ねじ式 つげ義春作品集 / つげ義春
販売価格(税込): 3,045 円
B5判並製
発行日: 2000/06/21